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まだ見ぬ頂へ挑み続ける。半導体の明日をつくるものづくり。

株式会社タジマ
代表取締役社長 田島 佳典

更新日:2025年7月30日

1985年 長野県生まれ。
2008年 慶應義塾大学 環境情報学部 卒業。
2010年 慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 修了。
2010年 ドイツ ワルター工作機械へ入社。
2015年 株式会社タジマ 入社。
2022年 代表取締役就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

創業者である祖父の想いを継ぎ、経営を学ぶため単身ドイツへ。

株式会社タジマは、私の祖父が1951年に金属加工を目的に創立しました。

最初の10年は工作機械・治工具・金型の生産などを行い、その後に株式会社化してからは営業部を置いて首都圏や大手メーカーからもご依頼をいただくようになりました。

主に電子機器分野において時代の最先端である高精度の金属加工品の製造で技術を高めてきた会社で、現在は半導体製造装置、航空・宇宙・ロボット業界を柱としています。

半導体の用途が広がった直近の10年ほどは、お客さまの成長に伴って新工場を増設し、今後もさらなる成長が続くと見込んでいます。

長野県上田市で生まれ育った私は、学生時代に会社経営や仕事の話を祖父から聞く機会が多くありました。そのため、比較的早い段階から「自分も同じように会社を経営してみたい」という目標を持っていたと思います。

神奈川県の情報系大学で学んだのち、慶應大学大学院の経営管理研究科で2年間、経営の勉強をしました。

その頃はリーマンショックのあおりを受けて世界的に経済が落ち込んだ時期で、当社を含めた金属加工業界も非常に厳しい時期でした。

すぐに家業に入るのは難しい状況だったことから、当時の2代目社長である伯父と相談して、ドイツの工作機械メーカーで修業することにしました。

社長と社員が本音で話す。ドイツの職場風土から得た学びと気づき。

ドイツのワルター工作機械に実習生として迎えられた私は、工業で有名なテュービンゲンの町にある本社に配属されました。しかし、ドイツ語を話せない状態で現地へ行ったため、最初のうちは言葉の壁や文化の違い、人間関係の構築に苦労します。

父が「前向きに物事を捉えて、ご縁を大事にしなさい」と送り出してくれたため、その言葉を胸になんとか頑張ってみようと思えました。

ドイツは個を大切にする文化が強い国です。有給取得日数が法律で決まっており、「休むために働く」という効率化とプライベートを尊重する組織風土には、当初カルチャーショックを受けました。

また日常業務で個人の意見を言う場面も多く、現場社員と社長が毎月ディスカッションする場面も目にしていました。さまざまな部署での実習を通して、「自分が会社を経営するならこんな組織を目指したい」という理想像が見えた経験でした。

もともと一年半の予定だったドイツ実習ですが、「もっと学び、ここで生活したい」と滞在期間を延長しているうちに気づけば4年半ほど働いていました。それだけ会社の雰囲気が良く、理想とするマネージャーが多くいる環境でした。

組織運営や異文化について多くの学びを得て、30歳を目前にした頃にタジマへ戻ることを決めました。

ドイツで出会った「理想の組織と上司像」が今につながっている。

タジマに戻り、ようやく自らの目標だった会社経営ができる環境に足を踏み入れたものの、私は知識も経験もなくゼロベースで入社した身です。

そのため「会社のためになることなら何でもやろう」という意気込みで工場のごみ拾いから始め、社員から何でも教わる姿勢を大切にしながら少しずつタジマに馴染んでいきました。

徐々に営業活動や常務の役割を任せてもらえるようになり、2022年に36歳で代表取締役に就任しました。

その頃は社内に五つある部署の部長も30代~40代へと世代交代している時期で、社長のバトンを私が受け継いで「同世代で一緒に頑張っていこう」という勢いがある中での就任でした。

私が理想とする会社像は、ドイツで体感した「個が輝ける組織」です。近年では中途採用の人材が増え、各々の経験や知識をもとに積極的に発言する文化が芽生えつつあります。

これまではなんとなく波風を立てずにやっていたことも、誰かが「本来はこうあるべきなのでは」と発信することで、建設的な意見交換ができます。

これはまさに私がドイツで体験した、社長と現場社員が自由にディスカッションする組織の姿に近いものです。

目的や目標を一つにしつつ、他部署も含めて互いに高め合える組織風土は、これからもさらに推進していきたいと考えています。

知識を追い求め、前向きな一歩を踏み出せる人と一緒に働きたい。

タジマの求める人材は、何事も前向きに捉えて「自分と会社が良くなるためにはどうすればいいか」と考え、行動できる方です。組織としてはまだまだ成長段階ですが、見つけた課題に自分ごととして介入して、積極的に物事を動かせる人と一緒に働きたいですね。

当社には中途採用で他業種から転職してきたメンバーもたくさんいます。その中でも活躍する社員に共通しているのは、ゼロから知識をつけることを楽しめる人です。

入社したらみんなが先輩ですから、一から教えてくれる内容を「面白い、もっと知りたい」と受け止められれば、金属加工の経験がなくてもぐんぐん成長できるでしょう。

当社は社員から生まれる新しいアイデアを歓迎しており、それが実現できる環境を整えている最中です。会社のサポートを受けてアイデアを実現した社員の中には、自信と確かな実力をつけてリーダーや課長に昇進した人もいます。

会社にとって重要なのは「どんな人材がいるか」です。いくら素晴らしい設備を持っていても、それを動かす人がいなければ意味がありません。ビジネスが好調なときにチャンスを取り込み、もし不調な時期が来てもなんとか乗り越えるには、社員の力が必要不可欠です。

最近は社員教育にもこれまで以上に力を注ぎ、現場の力の底上げを図っています。社員の個性をしっかりと認めながら、もし認識の違いがあれば上長がじっくり耳を傾ける。そうやって少しずつ社員の発信力やチームで課題に向き合う力を育てる工夫をしています。

誇れる仕事を、もっと誇りに。タジマが目指す会社像とは。

今後の組織づくりで目指す姿は、タジマに集まる優秀で真面目な社員が自分たちの仕事にもっと誇りを持ち、社内外に自信を持って発信できるようになってほしいということです。

半導体が日々進化していく中で、当社製品が人々の生活や日本の技術革新にとってどれほど重要なものに使われているのかをより強く認識してほしいと願っています。

私が代表に就任してからは、当社の技術を広く知ってもらうためにメディアで顔を出すことにも取り組んでいます。それが社員の働きに報いることにもつながりますし、当社の金属加工分野における高い専門性のアピールにもつながると考えています。

当社は大手の半導体製造装置メーカーや船舶・航空機メーカーといった取引先を持ち、常に最先端の技術で製品開発に臨んでいます。

まだまだ当社の活躍できるチャンスは日本中・世界中にあると考えており、どのように羽ばたいていけるのかは今後の経営にかかっています。

当社の社訓は「峠には頂きあれど、技術には技術の嶺を知る人ぞなし」。これは常に勉強し続ける当社の姿勢が示されています。

今後も社員が自己実現を達成できる会社、そしてお客さまや社会のニーズに幅広く応えられる会社を目指しながら、タジマをより大きな存在へと育てていきます。

編集後記

コンサルタント
児玉 珠美

ドイツでの「個性を尊重して認め合う文化」に強い影響を受け、社員一人ひとりが輝ける、リスペクトと信頼を基盤にした企業文化を目指す社長の想いに深く感銘を受けました。対話を大切にされる姿勢や、理想を言葉だけでなく行動で体現されている点も共感しました。

実際、当社からご紹介した候補者さまが内定承諾の際に、「面接で社長の想いに触れて感動した」とおっしゃっていました。社員との距離の近さや本音で向き合おうとする姿勢は、組織に安心感と推進力をもたらしていると感じます。

同社がこれからどのように進化していくのか、心から楽しみにしています。微力ながら今後もその歩みに寄り添い、ご支援できれば幸いです。

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