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伝統の重みと関係者との絆を胸に次の100年も誠実な歩みを。

株式会社守谷商会
代表取締役社長 吉澤 浩一郎

更新日:2024年5月08日

長野県生まれ。1979年に株式会社守谷商会入社。現場代理人、工事課長、事業本部長などを歴任し、2018年に代表取締役社長就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

創業は大正時代。108年の時を経て、今も息づく創業の精神。

守谷商会は1916年、大正5年に創業された108年の歴史を持つ会社です。創業者の曽祖父は高遠石工の名工「守屋貞治」で、当社のものづくりの精神はそこから受け継がれ、今も社内に深く息づいています。

「守谷商会」と名付けたのは、当時業界にあった前近代的な風習を一掃して近代的な業態を確立しようという決意と配慮を「商会」の二字に表現したからです。当社の「現場」と「技術力」を重んじる経営スタイルは、このような歴史と伝統によって育まれてきました。

現場での体験と受け継がれた伝統の重みを背に、経営に挑む。

私は長野生まれの長野育ちです。横浜の大学を卒業後、地元に貢献したいとの思いから長野に戻り、守谷商会に入社しました。入社以来、各地の支店を回りながら現場代理人、工事課長、事業本部長などの技術畑を一貫して歩んできました。

このように、私自身が長年現場で汗を流してきた経験があるからこそ、現場の方々とも思いを共有できているのだと自負しています。2018年に第8代目社長に就任しましたが、創業以来100年以上受け継がれてきた精神と伝統の重みを感じながら、会社経営にあたっています。

建設業は「オーケストラ」。関係者と対話を重ね「曲」を奏でる。

建設業という仕事の最大の喜びは、現場でゼロから建設物を作り上げていく点にあると思います。そのためには多くの関係者との協働が不可欠です。その中において、私たちの役割はいわばオーケストラの指揮者のようなものであり、関係者全員が力を合わせることで初めて一つの曲を作り上げることができると考えています。

それだけに、私たちは人と人との信頼関係づくりを何よりも大切にしています。日ごろから職人の方一人ひとりと膝を突き合わせて本音で語り合うことにより、いざという時にも迅速にフォローし合える関係性を築いています。

ときには関係者の方々に大変なことをお願いすることもありますが、感謝すべきことに、「日ごろからお世話になっている守谷さんだから」と皆さん快く引き受けてくださいます。これも単なる事務的な契約関係だけでなく、人と人とが直接関わり合うことによって生み出された固い絆があるからこそだと思います。

こうした現場との信頼関係の強さを語る上で、今でも忘れられない一つのプロジェクトがあります。平成初期に手がけた長野県内の高級ホテル建設工事で、当時で十数億円規模の大型プロジェクトです。高い品質はもとより、諸事情によりかなりタイトな工期となり、現場では非常に厳しい工程管理が求められました。

そこでは我々が必死に現場を取りまとめるとともに、現場のスタッフ一人ひとりが非常に高いプロ意識を持って任務にあたってくれました。中でも最大の難関が天井・壁の塗装仕上げ作業でした。

協力業者の塗装職人の皆さんに総集結してもらいましたが、それでも手が足りない。そこで、異なる職種の職人の方たちにコラボレーションしてもらうことで、なんとか予定通りに完成できたのです。

ここでの出来事は、いわば私の現場管理者としての原体験ともいえるものであり、多少無理なことでも機転により何とかなるとの想いで、今日の代表取締役としての経営指針の根幹にもなっています。なお、当時の関係者とは今でも付き合いがあります。

最大の財産は人。人材育成と働きやすい環境作りが未来を拓く。

建設業に従事する当社においては、人材こそが最大の財産です。社員一人ひとりの成長が会社の持続的な発展につながるとの想いから、社員の採用と教育、そして育成には特に力を入れています。

社内においては、資格取得の支援や取得者へのインセンティブの授与、階層別の研修プログラムなど、社員の自主的な学びを促す取り組みを積極的に導入しています。

また、新入社員には座学だけでなく、積極的に建設現場を体感することで長期的に活躍できる人材の育成を目指しています。これらに加えて、夜間大学での学びのために必要な費用を援助するなど、やる気があって自ら手を挙げる社員にはどんどん学習や成長の場を与えています。

社員に気持ちよく働いてもらえる環境を整えることも、会社としての大きな責務の一つであると考えています。建設業界全体においても働き方改革への対応は重要な課題であり、なかでも長時間労働の削減は喫緊の課題です。そのため、当社では業務プロセスの見直しや、長時間労働の削減、社員一人ひとりの生産性向上にも注力しています。

そうした取り組みの一環として、2019年頃からテレビ会議システムを活用した打ち合わせを導入しています。加えて、クラウドシステムや職場のDX化の推進により業務効率化を図るほか、現場スタッフを支援する専門部署の人員を拡充するなど、現場の負荷軽減にも取り組んでいます。

また、これまで一部の建設現場においては、土曜日も出勤して作業する慣例が残っていました。当社では発注者に見積もりを出す段階から、週休2日で無理なく進められるスケジュールを提示することにより、業界全体における労働環境の改善にも尽力しています。

こうした取り組みによって、社員全員がより一層働きやすい環境を整備するとともに、組織全体の生産性向上にもつなげていきたいと思っています。

地域に生き、地域に貢献する企業として交流の輪を広げ続ける。

建設の仕事をしていく上では、社員や関係者、さらにはその家族の方々の協力が欠かせません。また、建設という仕事はその土地に密着しているため、地域の方々とのよい関係性づくりも重要であると考えています。

そこで当社では、社員の家族や関係者、さらには地域の方々との様々な交流の場を設けています。毎年長野市で開催される「千歳の宮」の秋祭りに当社社員が御神輿の担手として参加したり、長野びんずるや長野マラソンなどにエントリーしています。

また、毎年会社の施設を開放して「守谷ランド」を開催してきました。これは社員の家族の方々を招待し、食べ物の屋台やゲーム大会などを開催してみんなで楽しむ催しです。小さなお子さんたちから年輩の方々まで幅広い年代層が参加できるイベントとして、社員の家族の方々も毎年心待ちにしてくれていました。

残念ながらコロナ禍によりここ数年は開催できていませんが、現在、各種イベントの復活に向けて具体的な方法を検討している最中です。

堅実で誠実な経営姿勢を貫きながら、次の100年を見据える。

建設業界を取り巻く環境が急激に変化し続けている現代においては、一つの事業だけに依存するのではなく、複数の事業の軸足を持つことこそがより安定した収益基盤の構築につながると私たちは考えます。

今後は、既存の建築・土木事業で培ったノウハウや人脈を活かしつつ、不動産開発や地中熱事業などの新しい領域への拡大を視野に入れるとともに、これまでと同様、地域社会への貢献を忘れることなく、誠実な経営を心がけていきたいと願っています。

当社はこれまで、様々な経営環境の変化に適応しながら、着実に業績を伸ばしてきました。過去のバブル期においても、浮いた話に手を出すことなく手堅い経営を堅持したことにより、大きな損失を被ることはありませんでした。さらに、リーマンショック時においても、地元密着型の案件に注力したことにより、他社に先駆けて業績回復を果たせました。

これも時世に左右されない誠実な経営姿勢を貫いてきたこと、そして地元・長野をはじめとするお客様や協力会社との信頼関係があったからこそです。私たちは今後も、引き続きこの強みを生かしながら、社是にある「すべてのことに誠実に、よりよい仕事をしよう」という経営姿勢を貫いていきます。

現在当社では、私たちとともに次の100年を担ってくれる仲間を募集しています。当社の未来を担う若い力を、ぜひお待ちしています。

編集後記

コンサルタント
山下 達也

守谷商会社へのご支援を通じ、いつも「あたたかい会社だな」と感じていたのですが、今回のインタビューで、よい仕事を残していくことや人材育成への想いを吉澤社長から直接熱く語っていただき、同社の魅力を再確認しました。同時に、その想いがあるからこそ100年以上の同社の歴史が続いているのだと腹落ちしました。

自分の関わったものがその地に残る、地図に残る仕事はとてもやりがいがあるでしょうし、同社の方々とお話させていただくとそれが表情や言葉からよく伝わってきます。今後も精一杯同社の採用活動をご支援していきたいと思います。

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