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製品を磨き上げ続けて50年。減速機が創造する新たな価値。

株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ
取締役 兼 執行役員開発・技術本部長 谷岡 良弘

更新日:2024年7月03日

兵庫県生まれ。山梨大学卒業。
1982年 株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ入社。
2021年 取締役 兼 執行役員開発・技術本部長 就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

「世の中に通じるエンジニアになる」志を胸に技術の世界へ。

当社は1970年、前身である株式会社長谷川歯車と米国法人のUSM社の合弁によって設立された会社です。1955年にC.ウォルトン・マッサー氏が出願した特許をもとに、50年以上にわたって「ハーモニックドライブ(R)」の製品群を育ててきた歴史があります。

私は山梨大学を卒業後、就職担当の教授の紹介でハーモニック・ドライブ・システムズを知り、入社しました。その教授というのがスカラロボット(水平方向にアームが動作する産業用ロボット)を考案したことで知られる牧野先生で、先生のロボットに当社の製品が使われていたというご縁がありました。

技術も何もない状態での新卒入社でしたが、とにかく「世の中に通じるエンジニアになりたい」という一心で、一所懸命に仕事をしながらいろいろなことを覚えていきました。当社には減速機のハーモニックドライブ(R)と、遊星減速機、そしてメカトロニクスの3つの事業があります。私はすべての事業で製品開発や製品の市場導入などを経験し、40年以上のキャリアの大半で技術畑を歩んできました。

様々なロボットを支える「ハーモニックドライブ(R)」。

当社の製品は主に産業用のロボットで使われています。従来のロボットは油圧で動いていましたが、それを電動化する際にモーターだけでは十分な力が出ないため、減速機が必要となります。そこでコンパクトな減速機を探していたドイツのクッカー社が当社の製品を採用したことをきっかけに、「ロボットといえばハーモニックドライブ(R)」というイメージが業界に定着しました。

モーターのパワーを最大限に上げるのが減速機の役割ですが、当社の減速機は歯車の間に一切の隙間がないノンバックラッシュを実現しています。歯車にガタがないので高精度にロボットを制御でき、しっかり動きをコントロールできる点が当社の技術の特徴です。

今は協働型ロボットといって人間の横で使うロボットも出ていますし、これからもっと技術が進歩すれば、自分で判断して動きを決める自律型ロボットもどんどん出てくるでしょう。当社はそういった製品にも幅広く応用できる減速機を扱っています。

工作機械からアミューズメントまで、幅広く世界のニーズに応える。

私はメカトロニクスや技術部門・開発部門の統括を経験した後、海外事業本部へ異動となり、韓国・中国・台湾で仕事をしていました。当社はアメリカに製造拠点があり、ドイツにもグループ会社があります。減速機はどの地域も統一したものを作っていますが、メカトロニクス領域のアクチュエーターやモーター付き製品では地域ごとに仕様が違います。今も各拠点と協調しながら、その地域にあった製品づくりをしています。

ドイツでは主に工作機械分野でアクチュエーターが使われており、アメリカはロボットでの活用が少ない代わりに、半導体製造装置や医療機器、アミューズメント分野で当社の製品が採用されています。技術や開発を経験していた頃は日本の外にまで視野を広げることは少なかったのですが、海外事業本部ではそれぞれの地域のニーズを知ることができ、世の中を広く見るきっかけが得られたと思います。

「出る杭」大歓迎!ハーモニックが求める人材像とは。

当社は、おかげさまでロボットや宇宙分野などで注目していただく場面が増えています。とはいえ宇宙への挑戦は始まったばかり。まだまだ現場で手を動かしながら作業をする場面も多くあるので、そういった部分で入社前後のギャップが起きないように気を配っています。

社風としては、社員の意見を取り入れる雰囲気があると思います。特に技術部門では自分の意見やアイディアをはっきりと言える人が活躍している印象です。求める人材像で言えば、主体的に自分から情報を取りに行ける人、考えを発信できる人とぜひ一緒に働きたいですね。そういう人には非常に働きやすい現場ですし、出る杭が打たれることもないのでやりがいがたくさんあります。

1日の中で長い時間を過ごす職場ですから、せっかくなら楽しく働けた方がいいですよね。私はいつも「やりたいことがあれば何でも積極的に言ってほしい」と部下に伝えています。当社はまだまだ成長途中の組織で、人員も限られていますから、一人ひとりのパフォーマンスが非常に重要です。意見を言いやすく働きやすい職場づくり、適材適所で活躍できるチームづくりは今後も推進していきたいと思います。

ハーモニックだからこそ経験できる、新しいものを生み出す楽しみ。

ハーモニックドライブ(R)は、ウェーブ・ジェネレータとフレクスプライン、そしてサーキュラ・スプラインというわずか3点の基本部品で構成されています。このシンプルなものをどう発展させていくかを考え、様々な製品ラインナップを生み出してきました。幅広い分野でお使いいただき、他社から「50年以上も一つの製品を売っているのは奇跡だ」と言われたこともあります。

当社が作る製品はまだ世の中にないものがほとんどで、新しいものを自分たちで作れる楽しみがあります。またお客様との距離も近いため、様々なリクエストに応えながら開発ができます。中には「ハーモニックの製品でないとだめだ」と言ってくださるお客様もいらっしゃって、求める機能・用途に合わせてお客様の製品の差別化にまで携わることもできます。

もちろん、製品開発をしていると上手くいかないことは多くありますし、市場導入がスムーズに進むことも稀です。「これで大丈夫だ」と思っても、お客様先で不具合が起こってリカバリに走った経験は何度もあります。ただ、しんどいことがあっても振り返ってみればきっと「良かった」と思える出来事に満ちた仕事だと思います。

ワクワクを原動力に。まだまだ広がる減速機の可能性。

私自身、入社した頃は減速機について何も知らない状態でした。「これがどうしてもやりたい」という方に来ていただけるのも頼りになりますし嬉しいのですが、何より大切なのは「減速機を見てワクワクを感じられるかどうか」です。

当社の製品であるハーモニックドライブ(R)は、それ自体が市場を切り拓くというよりは、どの技術分野に貢献できるかを模索し、ひたすら製品を磨き上げていくのが使命です。製品の用途がますます広がる可能性があることや、未知の領域にアプローチできることを楽しみ、モチベーションにつなげられる人におすすめの職場です。

与えられるのを待つのではなく、すでにある製品から発展させて「どう付加価値をつけていくか」が今後の当社にとっての重要なキーワードです。その過程に携わってキャリアを積みたい方や、新たなチャレンジを前向きにとらえて一緒に進んでくださる方と仲間になり、切磋琢磨しながら共に成長したいと思います。

編集後記

コンサルタント
太田 穂積

インタビューの最中、「ハーモニックドライブ(R)」を実際に手に取り、歯車を回転させてもらったのですが、その精巧さ、緻密さには目を見張るものがありました。あまりの感動で手から離せず、延々と回してしまいました(笑)。

また、「減速機で未知の領域にアプローチする」という谷岡様の言葉が非常に印象に残っています。谷岡様は同社の発展にこれまで多大に寄与されてきましたが、さらに先を見据え、夢を語られる姿に同社のさらなる可能性を感じて私も胸が膨らみました。

「減速機は可能性に満ちている!」というメッセージを今後お会いする方々にぜひ伝えていきたいです。谷岡様、本当にありがとうございました。

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