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八十二銀行で築く、自分らしいキャリア。新たな人材戦略で組織変革を目指す。

株式会社八十二銀行
人事部長 岩渕 裕泰

更新日:2024年9月18日

長野県生まれ。中央大学卒業。
1992年 株式会社八十二銀行入社。熊谷支店にて営業に従事。
1994年 長野県内の支店・組合執行部、人事部を歴任し、2015年支店長に就任。
2023年 人事部長就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

「やっぱり地元・長野で働きたい」とUターン就職を決意。

私が八十二銀行に入行したのは1992年です。長野県内で生まれ育ち、大学時代は東京で過ごしました。就職活動中は地元に戻るか悩みましたが、自分の中に「ゆくゆくは長野に戻って働きたい」という気持ちがあることに気づき、それならば最初から地元企業に入った方がいいと考えてUターン就職しました。

最初の配属先は埼玉県の熊谷支店でした。恥ずかしながら、若い頃の私は「八十二銀行は長野県内にしか支店がない」と思っていたため、とても驚いた記憶があります。外回りの営業として法人・個人のお客様と数多く接する中で、地域密着型の営業経験をたくさん積むことができました。

その後は長野県内のいくつかの支店や本部部署で経験を積みながら、企業内組合の執行部、支店の融資担当課長、人事部の採用担当者、支店長などの様々な業務を経て、現在の人事部長に至ります。

人事部の仕事はキャリアとしては2回目ですが、採用を取り巻く環境が当時と大きく変化しているため、今も試行錯誤を重ねている最中です。

職員の希望を最大限キャリアに反映する新たな人事制度。

八十二銀行では、2022年7月から「複線型コース体系」の人事制度を導入しました。入行してすぐは「スタンダードコース」からスタートし、配属先の支店で事務・個人営業・法人営業といった幅広い分野を経験したうえで、自分の進みたい道を決めることができます。「マネジメントコース」「本部スタッフコース」「プロフェッショナルコース」「事務店頭コース」の4コースからキャリアを選択する形式です。

その狙いは、職員一人ひとりの能力を最大限発揮できる職場環境の実現です。職員の自律的な能力開発やキャリア形成を支援するために、職員研修も刷新しました。多様性を尊重し、複数の選択肢を用意することによって、より多くの職員が活躍できる場を見つけられる支援を行っています。

このコース体系は新卒・中途採用どちらも共通です。従来の中途採用では専門性の高い方が入行するケースが多かったのですが、最近では支店で活躍する中途人材の採用も積極的に進めていますし、役員にも中途人材が2人登用されています。

女性の執行役員も2023年に誕生し、ダイバーシティを重視した人事運営で徐々に開かれた銀行になりつつあります。

採用難を乗り越える、八十二銀行の人材確保戦略と新たな挑戦。

私が初めて人事部へ配属された2017年ごろと今とでは、採用の様相は大きく変わりました。当時はまだ人手にも少しの余裕があったことから、中途採用はそれほど積極的ではなく、新卒採用が主流でした。そのため、「学生たちが八十二銀行に魅力を感じて来てくれるにはどうすればいいか」を常に考えていました。

当時は地方銀行に地元の出身者が帰ってくるケースが多く、どちらかというと「来てくれる方の中からどう選ぶか」が主な課題でした。しかし、今は銀行へ応募する人数自体が減っています。そのため「優秀な方にいかに銀行に興味を持ってもらい、人材を確保するか」に課題がシフトしています。過去と同じやり方ではいけないと考え、新しい人事方針や研修体系を整備しました。

「やりたくない仕事を続けるより、やりたい仕事を極めた方が、本人はもちろんお客様や会社にとっても良い」というのが八十二銀行の考え方です。以前から人事には自己申告制度があり、異動時期には毎年「どんな仕事をしたいか、どの地域で働きたいか」といった希望を必ず取り異動の参考にしてきました。現在の複線型人事は、それをより進化させたイメージです。

会社が目指す姿を職員に追いかけてもらう従来の形式から変化し、個人が目指す未来を組織として支援するというメッセージを明確に伝えるようになってから、特に若手人材はますます前向きに仕事へ取り組むようになりました。自ら人事制度や研修メニューを利用して、積極的に知識を吸収したいと考える人が増えてきたように感じます。

部下の強みを引き出し、成果につなげる1on1の取り組み。

八十二銀行の人事方針では、「強みの確立」「進取の精神」「自ら考え行動する」という3つの求める人材像を掲げています。これらをベースとした人材育成手法として、2023年度から「Your Time」という1on1ミーティングを開始しました。

これは上司と部下が毎月面談をする制度で、従来のように上司が評価・フィードバックをするのではなく、部下から話をするのがメインの場なので「Your Time」と名付けています。そこでは今後のキャリア形成・キャリアアップに向けての話をする時間を設けます。

中でも求める人材像の一つ「強みの確立」には特に力を入れており、いかに部下の強みを引き出し伸ばしていくかが「Your Time」の主なテーマです。

加えて、上司と部下の双方が見られるシステム上に面談記録を残すことで、入行時からの成長の過程を振り返れるようにし、職員自身の軌跡を刻みながら今後の道筋を確かめられる工夫もしています。まだ開始して1年ほどですが、少しずつ良い方向に進んでいる実感があります。

また、これを成果につなげるには管理職側の意識改革も当然ながら必要です。そこで、支店長や管理職研修にコーチングの内容を追加したり、新たに研修を設けたりして「Your Time」の意義を伝えることを始めました。管理職が多様な部下たちをしっかり受け止め、話を聞きながら現場をまとめあげる力の育成に取り組んでいます。

やりがいは「地域貢献」と「自己成長」。八十二銀行が求める人材像とは。

当行が採用で求めるのは、お客様のため・地域のために役に立ちたいという気持ちを持っている方です。誰かの役に立つこと、ありがとうと言っていただけることを自己の成長や仕事のやりがいにつなげられれば、きっと日々充実感を持って業務に打ち込めるのではないでしょうか。

近年、八十二銀行ではストラクチャードファイナンスやM&A、事業承継といったご相談が増えてきました。中途採用では上記のマインド面に加え、これら専門領域の知識を持つ方を求めています。最近では「デジタル・システム部門」という採用形態を新たに設け、システム人材の採用も積極的に進めています。

銀行の中には様々なデータがありますが、従来はそれを活かしきれていない課題がありました。現在はシステム部内にAI推進室が立ち上がり、銀行のデータを使ってマーケティングや商品の販売につなげる取り組みを進めています。このチームではAI関連の知見を持つ中途採用の方がバリバリ活躍しています。

キャリア採用の人材は別の組織文化を持ち込んでくれるので、とても刺激になり勉強になることも多いです。特に専門的な経験をお持ちの方は違った観点で物事を見て意見をくれるので、当行としてはそんな方を大歓迎しています。

お客様のニーズが年々複雑化・多様化する中で、中途採用の方が持つハイレベルな知識を吸収しながら、ますます付加価値の高いサービスを地域へ提供できる銀行になっていきたいと考えます。

新しい人事制度で目指すのは、職員が輝く現場づくり。

2023年6月に長期人事方針が発表された後、「Your Time」の実施や、銀行としての人材育成への考え方を職員に伝えてきました。しかしまだ伝わりきっていない部分もあり、その意義や目指す姿をより広く周知する必要があると考えています。

一部の若手職員に話を聞いたところ、新しい人事制度は非常に好評で「今までは仕事にやらされ感があったけど、コース制ではもっと主体的にやらないといけないと思う」とか「自分のレベルを上げるために職員研修をしっかり活用したい」という声がありました。

私から見ると、今の若手人材は自分自身が納得した道であればますますパフォーマンスを発揮できる世代ではないかと感じています。彼ら・彼女らがやらされ感なく業務に打ち込むためには、Your Timeなどの対話の機会も大きな意味を持つでしょう。まだスタートしたばかりの制度ですが、進んでいる方向は間違っていないという実感があります。

八十二銀行は長野銀行と合併し、2026年1月から八十二長野銀行になります。新体制に向けた準備は着々と進んでいますが、その中でも一番大切なのは「お客様のため、地域のため」という考え方です。これは今も昔も変わりません。

つまり、多様化するお客様・地域のニーズに応えられる人材や、お客様のお話の中からニーズを汲み取れる人材、付加価値の高いサービスを生み出す人材を育てていくことが何より重要だということです。人事部としても銀行が大切にする価値観を守りつつ、創造や変革を恐れずに時代の移り変わりに合わせた人材育成を行っていきます。

編集後記

コンサルタント
浦野 順也

地域に根付くトップバンカーだからこそ「地域社会に貢献する」という強い責任感が伝わってきました。その実現において企業が大切にしているものは人であるからこそ、やらされるのではなく、やりがいをもって働くことができるための改革がいくつも行われていることに驚きました。

同行が大切にしている「お客様のため、地域のため」という志を持った方とのマッチング機会をサポートすることで、地域社会の発展に寄与したいと感じたインタビューでした。

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